VTuber事務所「VShojo」は、日本時間7月25日に事業を閉鎖しました。同社の最高経営責任者(CEO)は、資金難を主要な原因として挙げ、経営責任を認めました。
資金調達と事業破綻の背景
VShojoは過去数年間で約1100万ドル(約16億円)もの資金を調達しており、これらの資金はクリエイターへの還元、新規デビューへの投資、インフラ整備、イベント開催などに充てられ、「クリエイター優先」の経営方針を掲げていたと説明されています。しかし、CEOは「我々のあらゆる努力にもかかわらず、事業はそのモデルを維持するのに必要な収益を生み出すことに失敗し、最終的に資金が尽きた」と述べ、資金調達の失敗と経営に必要な資金の枯渇を明らかにしました。
タレントへの未払いと寄付金流用問題
資金難に加え、VShojoを巡っては、複数のタレントによる給与未払いやチャリティ寄付金の流用問題が明るみに出ました。
鉄鼠(ironmouse)さんは、過去に行ったチャリティ配信で集めた50万ドル以上(約7500万円)の寄付金が未払いであることを告発しました。VShojoのCEOは、この寄付金を誤って事業へ流用したことを認めています。
ksonさんも給与未払い問題を抱えており、昨年9月以降一切の支払いがなかったと明かしました。彼女個人としては、1100万円の未払いがあるとのことです。これらの未払い問題が発覚したことで、タレントの脱退が相次ぎ、ksonさんによると、チャリティの金銭問題が発覚した時点で残っていたタレントはゼロになったとされています。
ksonさんが語る内部事情と不信感
ksonさんは、VShojoが事業閉鎖を発表する前に自身のYouTubeチャンネルで、騒動の内部状況について詳細な推測を述べています。
資金調達後の経営判断について、会社は多額の資金を得たにもかかわらず、高い給料で友人をスタッフとして大量に雇い、その給料が年収1000万円を遥かに超えるレベルだったと指摘しています。タレントが獲得した高額案件の収益も、会社口座がゼロになっても「友だちスタッフ」への高額な給料支払いに優先的に充てられ、タレントには一切支払われなかったと推測しています。
タレントが未払いに気づきにくかった理由として、VTuber業界特有の複雑な契約形態や支払いサイクルの遅さ、タレント間の契約内容や収入に関する情報の非共有を挙げています。また、会社のトップが著名な実績(Switchの元開発者)を持つ人物であったため、タレントは信頼しており、詐欺が行われるとは思いもしなかったと語っています。
ksonさんは、会社がタレントからの給料でスタッフの給料を賄えなくなった段階で、大量のスタッフを解雇しつつも、高給の「友だちスタッフ」だけを残し、最終的に「会社を潰して未払いも払いません」という形で逃げ切るつもりだったと見ています。
また、会社側は未払いを抱えるタレントに対し、「会社を立て直すために新しいタレントを入れて、そこで作られるお金で未払い分を払う」という提案をしてきたとksonさんは明かし、これを「新たな被害者を増やす行為」として厳しく批判しました。
過去に未払いがあったタレントが声を上げなかった理由として、秘密保持契約(NDA)の存在を挙げています。これにより、契約内容や会社との問題を外部に漏らすことが法的に制限されていましたが、会社が倒産する可能性が高い現在、タレントは訴訟リスクを恐れずに真実を語ることができていると説明しています。
Mint(ポム・レインパフ)の経験と日本スタッフへの感謝
元にじさんじENのVTuberであるMint(ポム・レインパフ)も、VShojoとの関係について自身の経験を語っています。
MintはVShojoと正式契約を結び、アイドルグループとしてのデビューを目指していました。彼女自身が企画提案やオーディション実施に積極的に関わっていましたが、グループのデビューは何度も延期され、最終的に計画は頓挫しました。特に問題視されたのは、VShojoの支援で制作されたグッズの売上がMint本人には還元されていなかったことです。
Mintは、グループ活動の準備を進める中で、日本側のスタッフや関係者たちが非常に親身に支えてくれたことに深い感謝の言葉を述べています。彼女は、問題が大きくならなかったことを「不幸中の幸い」と前向きに受け止めています。
Mintの暴露から数日経過しても、VShojo本体からの公式声明は発表されておらず、ネット上では「これが一番の闇」といった批判が多数を占めています。
業界への影響と今後の展望
ksonさんは、今回の騒動によって、タレントが未払い分を取り戻すことは困難であると考えています。しかし、VShojoに所属していたタレントはそれぞれ強固なファンベースを持っているため、生活に困窮するほどの事態にはならないだろうと述べています。彼女が最も許せないのは「信頼を裏切られたこと」であり、また、自分たちの影響力を利用して新たなVTuber志望者を騙そうとした会社の行為だと語っています。
VShojoがタレントの知的財産権(IP)を所有していなかったことが、今回のタレントの一斉告発を可能にした一因であるとも述べています。企業がIPを持つ場合、タレントは会社の意向に縛られやすく、不当な扱いを受けても声を上げにくい状況になりがちですが、VShojoの場合はIPがタレント個人に帰属していたため、タレントはVTuberとしての活動を終えることなく会社から離れることができました。
今回の事件は、VTuber業界における契約の透明性やタレントと事務所の関係性について、大きな議論を呼んでいます。特に海外のリスナーは、企業に騙されることが「普通」という認識を持っている傾向があり、日本で個人よりも企業が信用されるという価値観とは逆であるという指摘もあります。



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